やまのキケン
百森では森先案内人として、山林を多くの方に使っていただけるような仕組みづくりを進めています。しかし、それと同時に山の危険を知ってもらい、個々に対策していただく必要もあります。このページでは、最低限知っていてほしい山の危険と対策をまとめています。
あくまでも最低限なので、まだまだ気をつけるべきことがあると思います。「こういうことも書いたほうがいいよ!」「私はこれが大変でした…」などあれば、ぜひ教えてください。追記していきます!
基本的なこと
山には危険がたくさんあります。備えましょう
服装は長そで長ズボンが基本。首、足首、手首までカバーできるとなお良いです
暑さ寒さは、薄手の重ね着で調整します
内側に着るものは速乾性のものがおススメ
黒い服は避けましょう
両手が使えるように、荷物はリュックなど背負えるものを
上下で分かれたレインウェアで、急な天候の変化に対応できます
慣れないうちはGPS(携帯電話)とモバイルバッテリーが命綱になることも
紙媒体での地図、コンパスも使えるとなお心強いです
クマ鈴で、クマとの遭遇に対策を
緊急時に備えて、救急セット、非常食、ヘッドライトなどの備えを
山では電波が通じないことがよくあります。身近な人に、行き先と戻る予定の時間を伝えておきましょう
公共交通機関で出かけるときは、帰りの時間をきちんと調べておきましょう。終電・終バスが思ったより早かった!なんてこと、よくあります…
身近な人の連絡先などは、電子機器とは別に、紙に書いたものを持っていた方が安心です
キケンな動植物
いろんな動植物がいます。むやみに触れたり口に入れたりするとキケンです。
スズメバチ類
対策
黒いものを身に付けない、見せない
香水など強いにおいのものは避ける
刺されたことがある人やアレルギー反応を持つ人は、医療機関でエピペンを処方してもらう
巣を見つけたら近づかない遭遇したら
手で払ったりせず、静かに遠ざかるのを待つ
いっせいに襲ってきたら、全力で逃げる刺されたら
針が残っていたらサッと払いのけて取り除く(つまむと毒が押し出される可能性がある)
流水で毒を絞り出すようにして洗い流す
次刺されたときに重度のアレルギー反応を起こす可能性があるので病院を受診する
マダニ
体長1~5mm程度。「重症熱性血小板減少症候群」「日本紅斑熱」などの病原菌を保有しているマダニに咬まれると、それらの感染症を発症することがある
対策
肌を露出しない
帰宅後、入浴時にウェアや体にマダニが吸着していないか念入りにチェックする刺されたら
マダニ専用のピンセットで除去するか、皮膚科で除去してもらう
無理に取ろうとしない
マムシ
対策
水辺の草地や藪、岩陰に不用意に立ち入ったり手足を入れない
肌を出さない服装、長靴などを着用する遭遇したら
速やかに、静かに離れる咬まれたら
傷口を洗い、速やかに医療機関に搬送
ヤマカガシ
対策
特に水辺(川、池、水田、湿地)に不用意に踏み入れない遭遇したら
速やかに、静かに離れる咬まれたら
傷口を洗い、速やかに医療機関に搬送
ツキノワグマ
対策
とにかく遭遇しないことが大切
クマ鈴などでこちらの存在を知らせる
糞や爪痕、足跡を見つけたら引き返す
子グマを見つけても絶対に近付かない遭遇したら
遠くに見つけたら、そっと立ち去る
目があったらクマとの距離を保ち、背中を見せずに向き合ったままゆっくり後退する
もし攻撃してきたら、クマ撃退用スプレーを至近距離で噴射する
テンナンショウ類
全草にシュウ酸カルシウムを含み、食べると口のしびれ、腫れのほか腎機能障害を引き起こすこともある
さわらない、食べない
ウルシ類
樹液に含まれるウルシオールによりアレルギー反応が生じてかぶれることがある
さわらない。さわってしまったら水で洗い、患部を冷やす
ツタウルシ
他のウルシと異なり、名前の通り木に巻き付いたり地面を這っていたりするつる性の植物。ウルシの中でも特にかぶれやすい
さわらない。さわってしまったら水で洗い、患部を冷やす
トリカブト
見た目は美しいがフグ毒に次ぐ猛毒を持ち、数グラムの摂取で死に至る
山菜と間違えて食べてしまう事故が多い
食べない
カエンタケ
触れるだけで炎症、食べると発熱、悪寒、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を起こし、消火器不全、運動障害、脳神経障害などによって死に至ることもある
さわらない、食べない
ケガをしたら
ハチに刺された
針が残っていたらサッと払いのけて取り除く(つまむと毒が押し出される可能性がある)
ポイズンリムーバーで毒を吸い出す、水で傷口を絞り出すように洗い流す
アナフィラキシー症状(呼吸困難、吐き気、じんましん、かゆみなど)が出たら、持っていればエピペンを使用。いずれにしても119、早急に医療機関に搬送
次刺されたときに重度のアレルギー反応を起こす可能性があるので、病院を受診する
ヘビに咬まれた
流水で傷口をよく洗い流す
咬まれた場所から心臓に近い部分を布などで軽く縛る
患部を動かさない(毒の回りが早くなる)
病院を受診する
出血
小さい傷は、流水で洗い流す
出血が続く場合は、傷口をガーゼやハンカチなどで強く直接押さえて止血を行う(直接圧迫止血法)
血液による感染症を防ぐため、ニトリル手袋やビニール袋で血液に直接触れないようにする
骨折
無理に動かさず、添え木などで固定する
出血している場合は止血する
骨が露出している場合は無理やり戻したりしない
病院を受診する
目に異物が入った
大量の流水で洗う
目に何かが刺さったら、紙コップなどで両目を覆い保護してすぐに眼科を受診する
歯が折れた・抜けた
歯が折れたら歯科を受診する。歯の破片があれば持参する
歯が抜けた場合もすぐ歯科を受診する。歯の根元部分には触らず、生理食塩水が牛乳、唾液の中に保存して持参する
熱中症
とにかく冷やす
冷たい水に首より下を浸して冷却するのが効率的。部位としては、体表近くに太い血管がある両脇、足の付け根、首が効果的
意識がもうろうとしていたら、すぐに119、医療機関に搬送
低体温症
初期は震えるが、重症化すると震えも止まり、意識障害などが発生する
軽症の場合は風をよける、塗れた衣服を脱ぐ、毛布にくるまる、カロリーと水分を補給する
重症の場合は早急に119、医療機関に搬送
誤飲
意識がない、異常が見られたらすぐに119、医療機関に搬送
口の中に残っていれば取り除き、口をすすいでうがいをする
吐き出させず、中毒110番に相談する
大阪中毒110番(365日24時間対応)
072-727-2499
つくば中毒110番(365日9時~21時対応)
029-852-9999
百森の救急セット
百森では個人携帯用と社用車用の2種の救急セットを用意しています。あくまで百森で想定している用途などを記載しています
●:社用車用
★:個人携帯用
手袋
●★
人の手当てをするときは血液感染を防ぐために手袋を。百森ではニトリル手袋を小さなジップ付き袋に小分けして包装
ガーゼ
●★
出血した時におさえたりするのに使う
伸縮包帯
●★
ガーゼを当てたまま固定したりするのに使う
ばんそうこう
●★
大きいものと小さいものを複数枚ずつ用意
ポイズンリムーバー
●★
ハチに刺されたときやヘビに咬まれたときに毒を吸い出すための道具。あくまで被害を軽くするための応急処置なので、下山したら病院へ!
ハサミ類
●★
何かと便利
個人携帯用ではとげぬきのみ
カット綿
●
小さな切り傷などではガーゼより便利
三角巾
●
骨折した時に固定したり、止血帯として使ったり、何かあったときに好きに使える布
冷却材
●
叩くなどして力を加えると冷たくなるやつ。捻挫や熱中症のときに備えて
医療用テープ
●
包帯を使うほどではないとき、またばんそうこうの補強などに使う
ビニール袋
●
血液が付着したもの、汚れたものを処分する
液状ばんそうこう、とでもいうもの。傷口に塗ると透明な膜になり水も通さない。しみる
応急手当に興味のある方
株式会社百森では、MFA(メディック・ファーストエイド)の講座を開催できます。
MFAとは
救急医療の先進国、アメリカで誕生した一般市民レベルの応急救護の手当の訓練プログラムです。CPR(心肺蘇生法)やAEDの使い方、応急手当の方法などをじっくり学ぶことができます。
開催コース
チャイルドケアプラス
乳児~成人のCPR、AED、応急手当。7h
ケアプラス
乳児~成人のCPR、AED。4h
血液感染性病原体講座
血液由来の病原体に関する知識と予防対策。2.5h
開催について
受講をご希望の方は下記メールアドレスまでお問い合わせください。
shimizu.minami@hyakumori.com
参考文献
『 山のリスクマネジメント』
山と渓谷社
『 チャイルドケアプラス 小児、乳児、成人のためのCPR、AED、その他の応急手当て』
MFA JAPAN
『 Wilderness and Rescue FIRST AID』
Wilderness Medical Associates International